2011.09.07 Wed
「ひゃくはち」
正直、全体として浅くてぬるいと思いました。
観ていて「このシーン要るの?」というのが随所にあって、伏線にもなっていない。
喫煙飲酒といった不祥事になりかねないようなことも日常茶飯事であるということも知らない人にとっては面白い題材になっていると思う。
ただ、その描写が気にくわない。
物語前半では、ベンチ入りできるかギリギリの主人公がタバコを吸い、レギュラーと一緒に大学生と合コンするシーンがある。
そして、主人公と同じ補欠の親友が女子大生と付き合うことになる。
この話、なんにも意味をなしていない。単に高校球児の実態はこんなもんですよって知らせたいがためのシーン。
この物語の推進力は補欠である主人公がどうやってベンチ入りするのか。その過程でどんな友情を育むかという点にあると思う。
だから、いかに主人公に感情移入させて観ている人に「頑張れ!」って思わせるかが勝負なはず。
タバコ吸って、酒飲んで、合コンして、オンナと遊んでるような補欠を応援できるのか?
物語の後半で「スタンドからレギュラーに死んで欲しいって思っている人間がいる」みたいなことを主人公は言います。
が、「まず、オマエが死ね!」と言ってやりたい。
友情ごっこなのか知らないですが、「ベンチ入りしたい」と口々に言う割に特別な努力が見えてこない。
タイトルの108は煩悩の数と一緒ということなら、煩悩まみれだった補欠がそれを克服していくのもアリ。
そうじゃなくても、彼女がいることが支えになってという展開でもいい。
それなのに前半のシーンが全く活かされていない。ベンチ入りするための戦略もなんにもない。
なにより、主人公たちがベンチ入りするということは他の誰かがベンチ入りができないということ。
そこを無視してベンチ入り争いを扱うというのは、結局は友情ごっこを描きたいがための浅い補欠描写だったように思う。
ただ、よかった点は親子描写。
父親役の光石研さんがすばらしい。「あぜ道のダンディ」と同じく気丈に振る舞う父親がしっくりきて、反射的に泣けてしまいます。
特に背番号をもらえたことを電話で話すシーンは好きでした。
自分が高校野球をやっていたとき、両親はどんな気持ちで報告を待っていたのかと思うと。
あとは、野球映画で一番気になってしまうフォーム等々の技術の問題。
みんな引っ張る専門の同じスイングしかしていないのには笑えましたが、かなりリアルなレベルだと思いました。
主人公は万年ショートゴロしか打てないような初心者ダウンスイングで、これは意図したものかはわかりませんが、よかったです。
また、悪いところに戻っちゃいますが、市川由衣の記者のくだり。こちらもぬるすぎて何が言いたいのかわかりませんでした。
レギュラーは酒タバコ女で、補欠は「自分には野球しかない!」って話のほうが類型的ではあるけれど、もっと感動的になったと思う。
野球経験者以外が見るとどう思うのか疑問に思いました。
Kyohei
- 2011/09/07(水) 15:34:19|
- Cinema Hustler|
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